ハルヒ「古泉くんの子どもだったらあんな放蕩息子に育ってないわよ」
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名無しNIPPER
[saga]
2017/05/26(金) 22:47:43.48 ID:E8SB8aRMo
悲しみを決意で振り切るように静かに最後の言葉を放つと、光る瞳をまた窓に向けている。
わたしも黙っていた。
しばらくして、目を戻すと森さんは続けた。
森「今ならわたし達が神人と戦ってきたことも、
閉鎖空間で失った仲間の命も無意味ではなかったと言える。
それで彼らが帰ってくるわけではないけど。
そうして命がけの修練を重ねてきたからこそ、
我々は閉鎖空間の中でなら敵性存在とも互角に戦える」
そう言えばさっき……エイリアンが攻めてくるからこそ人類が団結すると……。
森「逆説的な言い方だけれど……。そう考えると全てに意味がある。
涼宮ハルヒさんが統合思念体のインターフェースである長門さんや、
未来人の朝比奈さん、そして古泉を集めたお陰で、
この三つの勢力が連携を取るきっかけになったわ。
それに涼宮さんが彼と結婚したからこそ一くんが生まれたのだし」
とてもそんな見方をしたことはなかった。
森「でも、それは結果を振り返ったときに、そうとも見えるだけだから。
あなたは決して無理はしないで」
それから腕時計を見て、ちょっと驚いたように微笑みながら、森さんは言った。
森「あら、いけない。つい長くなってしまったわね。送るわ」
伝票を取る森さんに合わせるように、わたしも席を立つ。
森さんが支払いを持って下さった。喜緑さんに改めて挨拶し、
わたし達が喫茶店から出てくると、なんとさっきのタクシーが待っていてくれた。
森「この辺りでいいかしら」
買い物のことを話してないのに、降ろしてくれた場所は、スーパーにほど近い場所だった。
森「ではまた、さようなら。あなたと話せて楽しかった」
サキ「わたしの方こそカギのこと、他にも色々……ありがとうございました。
頑張りますのでよろしくお願いします」
森「こちらこそ。でも根詰めないでね」
ドアを閉め、静かに発車したタクシーが離れていく。角を曲がって見えなくなると、
わたしは小さくおじぎして歩き出した。足取りが少し軽くなったようだ。
しかしながらその歩みは、先ほど森さんが話してくれた事柄のなかで、
ある重い面があることに考えが及ぶにつれて鈍くなった。
柊さんはわたしの年齢のころ、すでに閉鎖空間で<神人>と戦っていた。
それは、どう考えても一さんの生み出したもののはずがない。
森さんは涼宮ハルヒ、つまりおばさんが柊さんたちを集めたのだと言った。
つまり……。
おじさん、おばさんはどこまで知っているのだろうか。
柊さんはおばさんにどこまで話したのだろうか。
お互い、全てを分かり合った上での、今があるのだろうか。
だからこそ、森さんはごく自然に過去にあったことを伝えてくれたのではないか。
わたしには知る由もないし、こちらから立ち入ることではないと思う。
いずれにせよおじさんもおばさんも柊さんも、今は何のわだかまりもなく、
互いに忌憚のない会話を楽しんでいるようだった。
そんな大人になりたい、と心から思う。
七重が一さんについて、わたしに多くを語ろうとしないことも、
それがきっと軽々しくは話せないことだからではないか。
いつか、きっと。
そのいつかを迎えるためには、目前の危機をまず乗り越えなければならないのだろうけど。
サキ「根詰めないで、か……」
しかし、無理をしなければならない状況が、向こうからやってくることもある。
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