ハルヒ「古泉くんの子どもだったらあんな放蕩息子に育ってないわよ」
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15:名無しNIPPER[saga]
2017/05/14(日) 15:47:29.20 ID:laxrmAmeo
少年は膝をついて、クレーターのような穴の中に倒れている男を抱き起こしていた。
え、潰されたはずの女は?

確かに地面と巨人のこぶしの間に挟まれる瞬間を目撃したが。
道路の陥没したような窪みには女の影も形もない。
凝視しても、どう見ても眉間に皺をよせて気を失っている、痩せた若い男性だ。
見た感じかすり傷もない。

「ネットの動画から感染したのか」

うなされている男性の額に指先を当てぽつりと呟きながら、
男性の腕を自分の肩に回して持ち上げる少年。

サキ「……一体今のは何だったの。君は誰?」

「ここで説明するより、あとで柊という人が来るから、その人から聞いて」

さっさと行こうとしている。

サキ「ちょっと待って。あなた、名前は?」

「俺は……」

と言いかけて、少年は、

「いや、知らない方がいいだろう。君はまだ選んでないようだから」

サキ「だから、何の話なの?」

と言うそばから、空が一気に明るくなった。
黒い空の天頂はすでに、ふわあっと円形に拡がっていく明るい光に替わっていて、
あの青白い巨人も、繋がっていたパズルがピースに分かれるように、
うっすらと消えていくところだった。

気がつくと、ついさっきの、いつもの夕方に戻っていた。
近くを通る電車の通過音がここまで届く。
閑静なところなのに、ずいぶん様々な音が聞こえてくるものだ。
幾分傾いた日の光さえ、あちこちに色彩を与えているのだと気づかされる。

道路に目を戻すと、男性を背負った少年の姿はなかった。



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