59: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2017/05/10(水) 00:49:16.61 ID:/QEg56gn0
かつてブランデンブルク門と呼ばれていた瓦礫の山の上に、二つの人影。血の臭い、焼けた人体の臭い、蒸発した油の臭いが充満して噎せ返るほどだが、二人はまるで気にする素振りを見せない。
片方は、腰に手を添え、朱い眼を細め、額に右手を当ててわざとらしく遠くを眺める素振りをする。先ほどまで着ていた黒の革ジャケットは脱ぎ捨てられ、今は水着のような露出の高い服装と蝋や漆喰のように白い肌、腕や足の艤装が剥き出しになっている。
もう片方は、瓦礫の上にあぐらをかき、ぱたぱたと足を上下させ、少し前のめりになってある方角に興味深げな視線を向けている。目深に被ったフードの奥から、めいっぱいに見開かれた金の双眸が垣間見えた。
彼女たちは、深海棲艦とは思えぬほどに自然で柔らかい、満面の笑みを浮かべていた。
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