444: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/06/29(木) 02:02:08.22 ID:8fhCldZ+0
「お姉様、市内中央、右翼の敵艦隊並びに航空隊が離脱を開始!敵旗艦軽巡棲姫が撃沈された模様です!」
「ええ、私にも聞こえたわ…………さて、見知らぬ敵艦さん」
『─────』
お姉様は、手元の戦車砲を一度振りかぶって目の前の“新型”に突き出す。
「中央と右翼の貴女のお友達は退いたみたいだし、爆撃隊も尻尾を巻いて逃げていく……。このままだと、空からも陸からもここにわんさか援軍が来ちゃうわよ?
私とプリンツもまだまだ余裕はあるし、流石の貴女もマズいんじゃないかしら?」
………お姉様はこう言うけれど、これはほとんど虚勢に近い。
“新型”の……【彼女】の現在の損傷状態は、相変わらず橙色───即ち中破。対して此方は、私が小破でお姉様が中破。
状況だけを見れば互角だけど、その実向こうはあの不意打ち以降まともに損害を受けていない。着実にダメージが蓄積されている私たちは、明らかに押されている───どころか圧倒的に不利だ。
おまけに、周囲に展開しているレーベ達支援部隊の残弾も心許ない。向こうの高すぎる戦闘力を考えると、たとえ援軍がやってきたとしてそれらごと薙ぎ払われる可能性すらある。
「さぁ、どうするの?」
『………………wwww』
一歩踏み出して問いかけるお姉様を見つめ、【彼女】は突然今までのものとは毛並みが違う笑顔………“狂気”が抜けた、まるで遊び疲れた子供みたいな邪気のない笑顔を浮かべた。
「っ!!」
「きゃあっ!?」
ズンッ、と地面が揺れて、辺りに煙が立ちこめる。それは、【彼女】が足下に砲撃を行ったために発生したもの。
『♪』
ジャアネとでも言うように手を上げて。
煙の向こうに、【彼女】の姿が消えていった。
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