414: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/06/25(日) 00:53:14.24 ID:SQt7g1jh0
絶望的な状況下に置かれていた友軍を救援した後の包囲戦。完璧な誘導で敵艦の動きを制限したところへ戦艦と重巡による主砲射撃。
ど派手な爆発と、敵の姿を覆い隠す爆炎。
ハリウッド映画辺りなら、派手な演出や勿体ぶったBGMを施されて“実は健在だった敵艦”が観客の悲鳴やスクリーンに投げつけられるポップコーンと共に颯爽と再登場するのだろう。
《…………冗談でしょ》
現実にはそんな演出は存在しない。渦巻く焔と煙を尾で切り裂き悠然と“影”は再び現れた。水偵から妖精さんの眼を通してその様子を見た駆逐艦の一人が呆然とした口調で呻く。
影の………【彼女】の周囲を守る障壁が、火柱から出てくる直前オレンジ色に一瞬明滅する。流石に重巡洋艦と戦艦の一斉砲撃をまともに受けて損害を抑えることは難しかったようで、少なくとも中破レベルの大きなダメージは受けているらしい。
『─────♪』
なのに、【彼女】は笑っていた。
目深に被っていたフードを脱ぎ捨て。
先端の艤装部分から小さく火花を上げ続ける尾をゆらゆらと小刻みに震わせ。
人間や艦娘だったら“美少女”に分類されるだろう、幼さが残るけれど整った顔立ちに狂気を、狂喜を滲ませて。
【彼女】は、心底嬉しそうに満面の笑みで私達を見つめる。
少しだけ長く伸ばされた白い頭髪の隙間から覗く、玩具を見つけた子供みたいにきらきらと輝く眼が、真っ直ぐに私とお姉様を見つめる。何かを呟くようにして、青白い唇が動く。
………きっと、偶然だ。深海棲艦が人語を発したという話は、一度も聞いたことがない。
だけど私には、【彼女】の唇がこう言ったように見えた。
───アイツノイッタトオリダヨ。
496Res/494.57 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20