394: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/06/23(金) 23:52:39.42 ID:rsc+wgkx0
脳漿や血液が沸騰しているのではないかと錯覚してしまう激烈な怒り。体内でアドレナリンの濃度が一気に跳ね上がり、痛覚が遮断され身体の自由を一時的に取り戻したミルナは脇に転がるG36Cを掴んで立ち上がった。
(#゚д゚メ)「携行砲保有部隊と装甲戦隊は全火力をあの艤装に集中、牽制攻撃をかけろ!付近残存部隊は目標のブロックまで負傷者を回収しつつ後退急げ!!」
《レオパルト六号車よりコンツィ中尉、お言葉だけど先ず貴方が後退するべきです!あんな砲撃を受けて中尉の身体が大丈夫なはずが……》
(#゚д゚メ)「俺に構うな!行け!!」
《………Jawohl!!》
無線に向けて叫びつつ、“尻尾”に手榴弾をピンを引き抜き投げつける。手榴弾は防壁に当たってカンッと小さく乾いた音を立てて跳ね上がり、丁度真上の辺りで爆発する。
《総員、全車両、攻撃開始!》
《中尉を援護しろ、Feuer!!》
その爆発が合図だったかのように、何十もの砲声が重なり徹甲弾や対戦車ミサイルが尻尾にあらゆる方向から殺到した。5メートルを超えようかという巨体が爆光に全身を包まれて見えなくなる………が、直ぐに応戦の砲火がその中から放たれ街の一角で炸裂した。
《此方カンナビヒ少尉、部隊待機地点に艦砲射撃着弾!死傷者数名!》
《デーベライナー隊より各部隊に通達、敵艦艤装に損傷見られず。繰り返す、敵新型艦未だダメージ無し。
……Verdammt!!》
《Fuck!!》
《Kurwa!!》
損害無しの報告が流れた瞬間、デーベライナー軍曹と同時にポーランド兵とアメリカ兵も異口同音に毒づく。
ミルナも思い切り罵倒の言葉を並べ立ててやりたいという気持ちは同じだが、その光景は彼が半ば───どころか九割方予想していたものでもある。だから落胆はしないし、思考を止める理由にもならない。
(;゚д゚メ)「前衛の負傷者回収がまだ終わっていない、後衛部隊は引き続き火線を展開しろ!陣地転換をこまめに行い反撃による損害はなるべく抑え────うおっ!?」
横っ飛びでその位置から動いた直後、機銃弾がレオパルト1の残骸にぶち当たり火花を散らす。射角にそって視線を動かすと、口元から細い煙を吐き出す“尻尾”の姿がそこにあった。
笑っているように半開きになった口内から顔を覗かせるのは、連装式の対空機銃。
無線通信での指示をわざわざ大声で放していたのが聞こえたのだろう。指揮官は優先して潰した方が良いという判断か、イキのいい玩具と遊びたいという嗜好か、或いはその両方か。
どちらにせよ、周囲で負傷者の回収を続ける救護班にも散発的に砲撃を加えてくる後衛部隊にも射線は向けられていない。ミルナにとってはその事実さえあれば、理由などどうでもよかった。
(#メ゚д゚)「捕まえてみろ化け物!!」
叫び、G36Cを構え、引き金を引く。弾丸が障壁の表面で小さく火花を散らす様を見届けると、そのまま踵を返し全速力で前衛部隊とは別方向に走る。
『………♪♪』
その後ろを、機銃掃射の火線と艦砲射撃の爆発が追いかけていく。
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