392: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/06/23(金) 23:45:01.15 ID:rsc+wgkx0
頭上を、ポーランド軍の戦闘装甲車であるKTO-ロマソクが飛び越えていく。16トンの重量を感じさせぬ軽やかさで飛翔してきたそれは、ベルリン市警のパトカーを一台真上から叩きつぶした。
因みに砲撃で吹き飛ばされきたものではない、此方めがけて“投げ飛ばされた”ものだ。
(;゚д゚ )「道路両脇の家屋を爆破しろ、瓦礫の山で奴の進路を封鎖するんだ!」
《Jawohl!! Feuer!!》
数両の戦車が一斉に砲弾を放つ横を、ミルナは負傷した味方兵を引きずりながら駆け抜ける。背後でコンクリートの塊が崩れ落ちる音が聞こえ、足下から震動が伝わってきた。
《目標破壊、進路を封s
(; д⊂ )「うおっ!?」
爆風が吹き付け、握り拳大の礫が頬を掠める。
バランスを崩してつんのめるミルナの横を、火達磨のレオパルト1が地面をバウンドしながら通り過ぎる。立ちこめる爆炎と土煙の向こう側へ機銃を放つエノクが、2発目の砲撃で吹き飛ぶ。
(メ゚д゚;)「っ、誰か援護してくれ!負傷者の回収を………」
引きずろうとした兵士の身体があまりにも軽い。違和感を覚えてふり向くと、腰から下がなくなっていた。
一瞬悔しげに表情を歪めた後、ミルナは屍体を打ち捨てる。“敵”は、彼に部下の死をまともに弔う暇さえ与えようとしない。
「エノク、破壊されました!PT-91【トファルデ】、レオパルト1もロスト!!
尚、瓦礫によるバリケードは崩壊、妨害効果無し!!」
「砲兵隊より連絡、正面新型艦の艦砲射撃が展開地点に直撃!迫撃砲多数と操作人員を失逸、支援攻撃困難とのことです!」
(メ;゚д゚)「砲兵隊は市街地からの離脱を許可!CPも間違いなく同じ判断だ、万一咎められたら全責任は俺が取る!」
「バルシュミーデ少尉の携行砲部隊、敵艦への側面奇襲失敗!通信途絶!」
(゚д゚メ;)「第二波、第三波奇襲部隊に攻撃中止を通達!後方部隊と合流して防衛線の構築に参加するよう伝えろ!」
入ってくる報告も、眼前に広がる状況も、どちらも地獄の様相。それは最早“戦闘行動”といえるような有様ではなかった。
それでも、ミルナは指揮をやめない。彼自身混乱と恐怖から思考が停止しかけているのを強靱な精神力で辛うじて耐えている。
もし彼以外の誰かがこの場を指揮していれば、おそらく疾うの昔に正気ではなくなっていただろう。
「中尉、いったいアレは………奴は何なんですか!?」
「幾ら新種のヒト型とはいえ戦闘能力が今までの個体と違いすぎる、戦車も携行砲もまるで効果がない!!」
(メ゚д゚;)「考察は後だ!とにかく今は退却と次のブロックでの防衛線を────」
頭の上で妙な“気配”を感じて、ミルナたちは視線を其方に向ける。
「ヒッ…………」
まるで、獲物を狩る直前に鎌首をもたげた蛇のように。
路地の一角で漂う土煙を突き抜けて、巨大な“尻尾”が屹立していた。
先端に着いたウツボの頭部を象ったような艤装────そこから突き出した四つの砲は、全てミルナ達をにらみ据えている。
(;゚д゚#)「…………走れ!!」
砲弾が、降り注ぐ。
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