('A`)はベルリンの雨に打たれるようです
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28:名無しNIPPER
2017/05/08(月) 22:44:40.64 ID:vhkD1UQdO
「撃て、撃て!!」

「早く広場の外に逃げろ!!巻き込まれるぞ、急げ!!」

「此方フランス広場、敵襲を受けている!至急増援を派遣してくれ!!」

機銃掃射が納まると同時に、広場のあちこちで銃声が幾つも上がる。

先ほどの瓦礫の雨と掃射から生き残った警備担当のドイツ兵達が、H&K G36Cを構えリ級eliteに向けて引き金を引いていた。同時に、広場の外からも民間人に逃げるよう促しつつ20名あまりがなだれ込んでくる。

誰もが、死を覚悟した顔つきで。

('A`)「行くぞ」

ξ゚听)ξ「……私たちも戦」

('A`)「俺たちがあっちに入っても意味はない」

ξ;゚听)ξ「……」

あえて、感情を殺して平坦な声で答える。

事実、俺たちが彼らに加わったところでできることはない。俺もツンも武器を持っていないし、もし持っていたとして「歩く重巡洋艦の装甲」を歩兵の携行火器ごときで抜けるはずもない。

そして彼らが生を捨ててまで稼げる時間も、あのリ級が最大限に「遊ぶ」であろう事を考慮に入れても15分あれば十分な“健闘”だ。

ならばせめて、彼らの意思を少しでも無駄にしないように選択する。

('A`)「急いでここから離れろ!!東だ、東へ向かえ!!」

ξ゚听)ξ「もし怪我人が居たら手の空いてる人で運んで!押さないで、押し合うとかえって逃げ足が遅れるわよ!!」

ようやく現状を認識して会場出口に恐慌状態で殺到しようとする人の波を誘導し、パニックや怪我で動けない奴等を立たせ、促し、リ級から遠ざけていく。

('A`)「こっちだ、早く!!」

座り込んで泣き喚く子供を抱え上げ、その母親と思わしき女の背を押し進ませる。

一瞬、背後に視線を向けた。

「………」

警備隊の指揮官と目が合う。彼は微笑み、ありがとうとでも言いたげに此方に向かってサムズアップした。

「────Los, Los, Los!!」

突撃の号令、アサルトライフルを構えた兵士達が弾丸を放ちながらリ級との距離を詰めていく。俺は彼らに背を向け、母親の背中を先ほどより強く押す。

指揮官の右手薬指に輝いていた指輪の存在を、無理やり脳内から追い出す。

やがて、H&K G36Cのそれよりも遙かに重苦しい銃声が後ろで鳴り響いた。


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