('A`)はベルリンの雨に打たれるようです
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230: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/05/21(日) 14:36:57.16 ID:Ffb9jAHh0
エミの問いかけに、ビスマルクお姉様は心底不思議そうに眼をパチクリさせた。可愛い。

「私が戦う理由って………そんなもの、貴女たちドイツ国民を、そして世界中の人間を深海棲艦から守るために決まっているわ。それ以上の理由なんて」

「でも、それを望んでいない人間も大勢いる」

お姉様の言葉を遮り、エミは少し強くなった口調で問い詰める。

「私とハインは、勿論ビスにもグラーフさんにも感謝してる。二人が、艦娘の皆がいてくれて良かったって思ってる。私の家族や周りの人たちも、皆貴女たち艦娘に感謝していた。

でも、貴女が守りたいと言ったドイツ人の中には、貴女たちのことを亡霊とか悪魔とか、兵器とか呼んで蔑んでいる奴も大勢いるわ」

視界の端、エミの後ろで、流れていく人混みの何割かがびくりと気まずげに身を震わせたように見える。

从;゚∀从「おい、エミ!!」

「………すっごく酷い質問をしてるって解ってる、ごめんなさい。だけど、知りたいのよ。認められず、蔑まれて、疎まれて、終わりは見えなくて、それでもなんで貴女は戦うの?なんで戦えるの?」

从;-∀从「………」

「お願い、時間が無いだろうけど───少しでいいの、教えて頂戴」

………エミは「酷いこと」と言ったけれど、彼女の指摘は完全な事実だ。

私やビスマルクお姉様や、世界中の艦娘達が「戦う船」として経験した、人類同士による大きな戦争。80年近く前に起きたその戦争から、私達は人の姿を得て蘇った。

深海棲艦という、強大な力を持つ敵から人々を守るために戦う日々。だけど、私たちに守られることを、私たちが「艦娘」として蘇ったことをよく思わない人々がいる。

平和と人道を叫び、「あの人」の名の下にハーケンクロイツを掲げていた時期のドイツを忌むべき時代だと論じるその人達。彼らは私やビスマルクお姉様、或いは日本の艦娘達を「第三帝国の亡者」と呼んで、出て行け、もう一度鉄屑に戻れと罵る。

その声は数が多いわけじゃない。けれど、決して少なくも小さくもない。

そして、日頃はその叫びに眉を顰めているような人々でも、実際に私達と出会うとその視線は淀んでそっぽを向く。


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