229: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2017/05/21(日) 14:21:22.97 ID:Ffb9jAHh0
「そっれっでっ、どうなのよ!?答えてくれるの?!くれないの!?」
「…………うん」
別に、答えても支障は無い。それで納得して素直に退くのなら、私は今すぐにでも彼女に求める答えを与えるべきだろう。
だけど私は、Prinz Eugen-09は、“答えられない”。
艦娘としてそう定められているから、私は今深海棲艦に立ち向かっている。目の前でドイツに住む人たちを死なせたくないという思いも抱いてはいる。
でもそれらは、私が“自分がどんな存在なのか”を考えないようにするための気休めだ。私は“艦娘”だから戦うんだと言い聞かせていれば、余計なことを考えずにすむからという逃避だ。
だとしたら、艦娘としての使命の下に戦っているわけでも人間としての矜持の下に戦っているわけでもない私は、結局のところ「何」になるのだろうか?
「………ちょっと、プリンツ?貴女大丈夫?」
「ふぇあっ!?」
ぐるぐるとまとまらない思考の波に呑まれた私の肩を、誰かが叩く。
ふり向くと、ビスマルクお姉様が立っていた。
「お、お姉様!?何でここに!?」
「貴女を呼びに来たのよ。ゲリッケから作戦配置につくよう指示があったわ。具合が悪いように見えたけど、そんな大声が出るなら大丈夫ね……あら、エミにハインじゃない」
お姉様はエミ達の姿を見て、少し目を丸くする。いつもニコニコしているこのお姉様にしては珍しく、少し眉間に皺を寄せる。
「貴女たち、こんなところにいないで早く避難しなさい。せっかく私とグラーフが守った命なんだもの、大切にして貰わなきゃ困るわ」
从;゚∀从「悪りい、オレはさんざん逃げるように言ってんだけどフロイラインが頑固でさ。エミ、いい加減にしようぜ」
「あんた人にテンプレだの何だの言っといて自分は思いっきり死語使ったわね……解ってるけど、本当にあと少しだけ待って。
───あのさ、ビス」
「ん、何かしら?」
おいちょっと待てビスって何だ愛称呼びってなんだ私のお姉様といつの間にこんな親しくなりやがったこの小娘おい待てゴルァ!!
「ビスは、何のために戦っているの?」
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