182: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2017/05/18(木) 00:56:40.17 ID:qcFlP+vx0
まるで、カーペットの上にひっくり返したインク壺の染みのような青黒く巨大な円。
深く暗い海の底を思わせる色合いのその“染み”は、ドイツ領ルール地方の一角に今現在広がっているものだ。
「つい先ほど、USEUCOM空軍司令部より共有があった画像です。
消息を絶つ直前、同地で任務にあたっていた空中管制機から送信がありました」
セントと十数年のつきあいになる海軍中佐が、硬い表情で捕捉する。彼からしても、このような事態は全くの未経験であり冷静に処理することに苦労していた。
「直径は、凡そ8キロから9キロ程度になると思われます。小さな街なら、まるごと一つすっぽりと覆えるほどの大きさです。
“染み”それ自体の成分や形状に関しては詳細全く不明。気体なのか、液体なのか、人工物なのか、自然物なのか、或いは単に地面が着色しているだけなのか、何も解らない状態です」
(’e’)「………衛星写真でより詳しい状況は確認できないのか?」
「この大規模侵攻の前後から、該当地域の周辺は映像の乱れが酷く衛星情報の収集は極めて困難になっています。
現段階では、Angel-Ringから送付されてきたこの情報が最新のものです」
(’e’)「グローバルホークによる偵察は?」
「二機を投入しましたがどちらも該当区域の遙か手前で撃墜されています。USEUCOMではプレデター編隊による威力偵察を行いましたが、此方も詳細確認はならず全滅しました」
(’e’)「……」
その報告自体には、セントは落胆のため息をついただけで特に強い反応は示さない。
無人航空機では、様々な面で有人の戦闘機に劣る。加えて相手はF-15のストライクパッケージ(戦爆連合)を殲滅した相手だ。
あわよくばの成功を期待していなかったと言えば嘘になるが、ただ機体を無駄に摩耗するだけだろうとは概ね予想していた。
寧ろ、問題は。
(’e’;)「……航空管制機による支援付きの第4世代戦闘機と真っ向勝負して、一方的に殲滅し得る航空戦力の存在だと?」
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