160: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/05/16(火) 01:06:05.08 ID:9hQehj8k0
低く、思わず背筋を伸ばしてしまうような、厳格な女の人の号令が聞こえた。
ξ;゚听)ξ「!?」
私達の頭上を、ミニチュアサイズの“航空機”が駆け抜けていく。
時代遅れのプロペラ式で、更に言えばBf109改───ナチス・ドイツ軍の【メッサー・シュミット】に酷似しているそれらが、手前のイ級に向けて一斉に機銃掃射を叩き込む。
「───ハイン、撃って!!」
『ヴァアッ、オアアッ!?』
『ガァッ!?』
苦悶の声を上げて仰け反るイ級の横っ面に、今度は砲弾が直撃する。
正確に、完璧に眼を射抜かれたイ級は更に声高に断末魔を上げて、ハ級を巻き込み転倒した。
『─────!?』
ξ;゚听)ξ「………!
レーベレヒト!!」
「解ってる、逃がすもんか!! Feuer!!」
一気に開ける視界、射線。イ級の妨害から解放されたレーベレヒトは、乱れた衣服を直すことすらせず街路に躍り出る。
遠ざかりつつ驚愕に眼を見開いているル級に向けて、彼女は艤装の引き金を引いた。
『ウァッ───!』
ル級は、最後の一瞬まで生を諦めてはいなかった。
彼女は此方に向かって身を翻すと、左手の艤装を盾のように構えつつ反撃を試みる。
『──────ア』
障壁を。
艤装を。
胸を。
レーベレヒトの放った弾丸が、貫く。
ル級は、ぎこちない動きで下を向く。
彼女は、一瞬自分の身体に空いた穴を見つめると、
『………ア、ァ────』
そのまま、糸が切れた操り人形のように。
雨に濡れながら、アスファルトの上に膝から崩れ落ちた。
その様子を見届けて、レーベレヒトはなおも艤装を構えつつ鋭い息を口から吐く。
「…………ル級、轟沈を確認しました!」
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