138: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/05/14(日) 17:36:02.52 ID:uN3uvxTa0
“彼女”は、人間達に戦艦ル級という呼び名が付けられている種族の一人であった。
無論、そのことを彼女は知らない。そもそも彼女たちは個体はおろか種族を識別するような名前を持たず、また特に持つ必要も無かった。
彼女たちに“個人”が存在しないわけではない。だが彼女たちは、『全の意志』に全てを委ねることによってこの海の世に存在する全ての同胞達と解り合うことができた。そのため、“個”と“全”を区別する為のあらゆる事象を必要としなかったのである。
一応、『個の意志』を通して語ることで、特定の個体同士“のみ”での精神共有も可能ではあったが、そのような行為は彼女からすれば極めて非効率だった。
彼女が人間を殺すにあたっても、彼女自身には何の動機もない。
ただ、『全なる意志』が陸に上がる人間の廃滅を望んでいるためその意志に従事しているに過ぎない。そして、彼女自身はそうでなくても『全なる意志』は人間への強い憎悪を抱いていたため、自然彼女も人間を憎悪し、その抹殺を徹底する。
『全なる意志』がそれを望むのなら、彼女もまたそれを望み実行することが自然かつ効率的だからだ。
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