227: ◆n0ZM40SC3M[sage saga]
2017/05/08(月) 02:21:32.48 ID:6an8YmUi0
悪魔祓いの本はどんどん小さくなっていき、最後に一瞬だけ白く強い光を放った後、跡形もなく消えた。
「これで、悪は去りましたね」
「あんた、悪とか言って平気なの?」
私は呆れたふりをしながら、袋を持つ手に力を込めた。
いよいよ時間が迫ってきている。
もう、私は逃げたりなんてしない。
大切なのは、行動で示すことだ。
言いたいことは、ちゃんと伝えると決めたのだ。
早いところ、渡すものを渡してしまわないと……。
袋を持っている左手の手首を右手で掴むと、編みこまれた紐の感触がする。
思えば、このミサンガはこの一か月ほどはずっと一緒だった。
そんなに手荒に扱っているつもりはなかったが、あちこちほつれてきていて、少し愛着もわいている。
そのでこぼこした表面をなぞっていると、不思議と緊張もほぐれるようだった。
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