174: ◆n0ZM40SC3M[sage saga]
2017/05/08(月) 01:48:59.24 ID:6an8YmUi0
それなのに、ノートをバーナーの数センチ上で静止させたまま、私は荒い息遣いで立ち尽くしていた。
呼吸という現象は穏やかな燃焼なのだという……体内でくすぶっていてどうするのだ、
燃やすべき対象は、手の中にある!
私はガスコンロのツマミに手をかける。
暖房をつけていないため、プラスチックのツマミは冷たく無表情で、私の決意を削ぐようだった。
こんなに固いツマミだっただろうか……私が少し力を入れても、それは決して回ろうとしなかった。
静止摩擦係数は、一般に動摩擦係数より大きい。
何事も思い切りは大事だ。
海に入るときだって、水が冷たいのは最初だけで、
だんだん海中の中にいる方が暖かくなり、浜に上がりたくなくなるものだ。
いつまでも二の足を踏んで足の裏を焦がしているよりも、さっさと潜ってしまう方がいい。
後で思い返せば、きっとなんでもないことに違いない。
そう、世の中、成長することなんてない。
全ては取るに足らないのだ……。
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