【デレマス】「先輩プロデューサーが過労で倒れた」
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35: ◆Z5wk4/jklI[saga]
2017/05/07(日) 01:11:58.85 ID:LHxNoXTK0
 トレーナーがこちらに歩いてくる。

「お疲れ様です」

「お疲れ様です……どんな感じですか?」

 俺が尋ねると、トレーナーは笑顔のまま一つ頷いた。

「ええ、上条さん、白菊さん、関さんの三人は問題ないでしょう、ほかのバックダンサーのメンバーとの調整も時間はかからないと思います。日野さんと荒木さんも、筋はいいですよ。日野さんは動きが大きくなりがちなので、ユニットダンスでは周りに合わせてもらうようにレッスンしていきます。荒木さんは体力が課題ですが、ダンス自体はしっかり覚えてますし、自分の動きをしっかり見ながら練習できているみたいです」

「なるほど」

 ひとまず心配することはなさそうだった。
 比奈はマンガを描いていた経験が美的センスとして応用できているのだろうか。
 なにが活きるかわからないものだと俺は思う。

「うーん、思ったよりもハードなものだったんスねえ……」

 比奈がこちらに歩いてきていた。豊かな髪に汗がキラキラ光っている。

「そこらのスポーツなんかよりはずっと、体力を使うな」

「自信なくなってきたっス……」

 比奈は肩を落とす。その目はダンススタジオ中央で、小さな動きでダンスを確認している茜を見詰めていた。
 茜は短時間の休憩でも体力が回復してきたようだ。

 アイドルのステージは見た目の華やかさに反し、実際には体力勝負だ。
 衣装を着て歌いながら激しいダンス、それを何曲も続けていく。
 さらに全プログラムを通して笑顔を保ったままで続けなくてはならない。ツアーとなれば連日だ。
 体力的に限界が訪れていても、たとえステージ中にけがをしていても、アイドルは苦痛に歪んだ顔を決してステージでは見せない。

 だからこそ華やかさを保てる。羨望の的にもなれる。

「トレーナーも言ってた通り、こればかりは一朝一夕では身につかないさ。毎日頑張れよ」

「マンガもすぐに上手くなるもんじゃないですし、わかってるんスけどね……うう、引きこもりには厳しいっス……」

 比奈は自分の太ももを揉みながら、うめき声をあげていた。

 そのあとも数十分、レッスンは順調に続いた。



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