【デレマス】「先輩プロデューサーが過労で倒れた」
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34: ◆Z5wk4/jklI[saga]
2017/05/07(日) 01:10:41.24 ID:LHxNoXTK0
 それから日を置いて、ダンスレッスンがはじまった。
 春菜、ほたる、裕美の三人は、プロダクションのアイドルイベントにバックダンサーとして参加する予定が入っている。
 それに合わせて、茜と比奈もレッスンに参加し、基礎のステップから順に慣れていってもらう。

「それでは、まずは曲のあたまからやってみましょう」

 トレーナーが五人の前に立ち、手拍子をはじめる。
 カウントのあとに、五人それぞれがステップをはじめた。
 春菜、ほたる、裕美の三人は本番も近いので、ダンスはほぼ完成した状態だ。
 それぞれに細かく指摘すべき点はあるのだろうが、バックダンサーということであれば、現状でもステージで十分通用する。
 ここからのレッスンは確認と反復練習が中心だ。

 いっぽうの茜と比奈は今回の参加が初めての本格的なダンスレッスンということになる。
 事前に資料を渡して振付を覚えるように伝えてあり、二人とも自宅で練習していたようだ。
 しかし本番やそれを想定したスタジオのレッスンのような環境は、個人練習とはまったく状況が異なる。ただ振付を覚えればよいというものではない。

 レッスンから二十分も経たないうちに、比奈は床にすわりこみ、茜もびっしょり汗をかいている。

 トレーナーは最後に茜と比奈の二人だけを残し、それぞれのダンスの状態を見た後に、最初の休憩の判断を入れる。

「お疲れ様です! お水、しっかり摂ったほうがいいですよ!」

 春菜が茜と比奈に水の入ったペットボトルを渡していく。レッスン室の端の机に俺が用意していたものだ。

「ありがとうっ、ございます」

「……ありがとうっス」

 二人は肩で息をしながらそれを受け取った。
 春菜たち三人は体力もまだ余裕が見える。
 トレーナーはクリップボードにメモを取りながら、二人にレッスンのフィードバックをしていく。

「荒木さんは基礎体力からですね。あとでメニューを作ってプロデューサーに渡しておきます。体力をつけるのは時間がかかりますから、これから毎日着実にがんばって行きましょう」

「了解っス……いやぁ、激しいっスね、アイドル……明日は確実に筋肉痛っス……」

「体力がつくと、身体を動かすのも楽しくなりますよ!」

 トレーナーはにっこり笑う。

「あはは、まぶしいっスね……」

「それで、つぎは日野さんですね」

「はい、っ……」茜の返事は詰まり、茜は一つ咳こんだあとに返事をしなおす。「はい!」

「茜ちゃんも思ったより疲れてるみたいっスね、体力ありそうなのに、アイドル恐るべし」

 比奈がそう言って水を口に含む。

「頑張りが足りないですかね……もっと走り込みを増やします……!」

「茜ちゃんでそんなになら、アタシはまだまだ遠そうっスね……」

「あまり心配しなくても大丈夫ですよ」トレーナーがフォローに入る。「日野さんは運動部だけあって、基礎的な体力は大丈夫だと思います。いま疲れてしまうのは、振り付けを覚えきっていなかったり、周りのメンバーの動きとのズレに惑わされてしまうからですね。不必要に大きな動きをしたり、呼吸が整わなかったりして、余計に疲れてしまうんです。振付が身について、みんなと一緒に踊ることに慣れれば、疲れすぎずに踊れますよ」

「なるほどっ! がんばります!」

 茜は嬉しそうに握り拳を作った。



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