【デレマス】「先輩プロデューサーが過労で倒れた」
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31: ◆Z5wk4/jklI[saga]
2017/05/07(日) 01:05:04.92 ID:LHxNoXTK0
「――だから、俺がプロデュースするから、みんな」アイツの顔がちらつく。「一緒に、がんばろう」
ほんのすこし、沈黙が流れた。
「そっか……病気じゃ、しょうがないよね」
裕美はそう言って、目を細めて小さなためいきをついた。
笑顔ではなかった。
「そうっスね、まー、やってみましょーか。アタシ、アイドルとかどうすればいいのかわからないっスけど……やってみないと、なにも始まらないですし、やりはじめればどうにか形にはできるもんスよ」
比奈が助け舟を入れてくれる。
「そーです!」
茜が再び立ち上がる。ほたるがそれに驚いたのか、小さく悲鳴を上げた。
「ピンチにこそチームワークを発揮して乗り切るときですよ! ここにいるみんなならできます! メンバー一同頑張りましょう! ファイトーーーーォォォ……あれ?」
いつものシャウトが来るかと思いきや、そこで茜は首をかしげる。
「このチームの名前、なんて言うんですか?」
「そういえば、ユニット名、聞かされてないですね」
春菜が思い出したように言った。
気が付くと、さっきとちがう眼鏡をかけている。
「ああ、ユニット名は……まだ未定だ」
「……未定スか」
比奈に確認されて、俺は頷いた。
先輩の残した資料に、ユニット名は書かれていなかった。
俺が茜をスカウトするより前、メンバーが決まりきってない段階の資料だったから、最後の一人をスカウトしてからつけるつもりだったのかもしれない。
引き継いだ身として一応ユニット名を考えてはみたものの、あまりしっくりくるものが思いつかなかった。
そもそも俺は名づけなんてしたこともない。下手に触るよりかは、先輩が戻るまで未定にしておくほうがいいようにも思えた。
「曲のリリースまでには決まるさ」
俺はそう言い訳する。『決める』ではなく『決まる』という表現を使ったのは、ユニット名は必ずしもプロデューサーが決めるものではないからだ。
ユニットメンバーの中から出ることもあれば、誰かお偉いさんがつけることもある。
「うーん、いろいろ宙ぶらりんっスね……はは」比奈が乾いた笑いを発した。「それで、次の予定は、資料によると……宣材の写真撮影、っスか?」
「ああ。このあとはスタジオで撮影だ。実際に活動を始めたほうが、あれこれ悩むより掴めるだろう。俺も先輩から引き継いだばかりでイメージ不足だ。みんなも不安だろうが、一歩一歩やっていこう」
自分を落ち着かせるように、俺はそう口にした。
「センザイ! 洗うんですか! 任せてください! マネージャーですから、みんなのユニフォームだってよく洗ってますよ!」
茜のおそらく本気の間違いは、勢いがありすぎて誰も訂正できなかった。
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