島村卯月「マーキング」
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149:名無しNIPPER[saga]
2017/08/03(木) 12:36:24.99 ID:HWaFrKsf0
「卯月ちゃん」


「ありがとう、卯月ちゃん」


「頑張ってね」


「今日も可愛いよ」


「卯月ちゃんと話せて良かったよ」


何人、何十人と何回も握手を交わす。その度に悪寒が走り、私を蝕んでいった。


しかも、症状はそれだけに止まらなかった。


回数を重ねていく内に、声を聞くだけで頭痛がして、吐き気が込み上げて、症状はますます悪化していく。


正直な所、その場に立っているのもやっとなぐらいでした。できる事なら、一度この場から抜けて休憩を取りたいぐらい。


でも、握手会が始まってからしばらく経ってるし、会場を見渡せばまだまだ大勢のファンの人達が控えている。


それなのに……体調不良なんかで、そんな理由で抜ける事なんてできません。休みたいなんて、我が儘を言っている場合じゃありません。


「今日は、来てくれてありがとうございます」


声が震えそうになるのを何とか抑えて、荒れていく呼吸を必死に落ち着かせて、表情が歪みそうになるのを笑顔の仮面で隠して。


平然であるのを装い、体調が悪い事を悟られない様にと懸命に立ち回りましたが、うまく隠せていたかは分かりません。


自分ではどう見えているかなんて確認しようが無いので当然ですが、それでも何も言われなかったという事は、隠せていたのでしょう。


『私の目にはとてもじゃないけど、卯月が元気そうだなんて見えないよ』


言い表せない辛さが増していく中、イベント前の凛ちゃんが放った言葉を私は思い出す。


気のせいだと、勘違いだろうと言われた時にはそう思った。けど、実際には違った。


今の私の状態から鑑みれば、凛ちゃんの言葉が正しかったのは明らかでした。





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