147:名無しNIPPER[saga]
2017/08/03(木) 12:35:19.06 ID:HWaFrKsf0
男性が離れて、いなくなったタイミングを見計らって、私は目の前で両手を広げてそれをジッと見つめる。
「……何で、だろう」
何でまた、悪寒なんて走ったのか。
その謎を解こうにも、幾ら考えた所で答えは出てこない。
考えれば考える程、袋小路に迷い込む様なものでした。
そうしている内に、次のファンの人が私の目の前にへと現れる。
私は落としていた視線を元に戻し、気を取り直して笑顔でその人を出迎えました。
「やぁ、卯月ちゃん。今日も頑張ってるね」
さっきの人と違って今度はピンク色の法被を羽織って、頭に鉢巻を巻いた男性。
奇抜な恰好をしていますが、以前にも何度か会った事があって、私も見覚えはありました。
ニュージェネレーション……というよりも、私が出るイベントに毎回の様に現れる、常連さんと言ってもいい人です。
「あっ、はい。今回のイベントも来てくれたんですね。いつもありがとうございます!」
「ははっ、卯月ちゃんの現れる所なら、僕はどこにだって駆けつけるさ」
その言葉通り、本当にどこにだって駆けつけてくれているんです。
このライブツアー中にも最前列で応援している姿を見掛けていますし……こういう人を、ファンの鑑と呼ぶのでしょうか。
私を応援する為だけにそこまでしてくれて……アイドルとして、嬉しく思ってしまいます。
そしてこの人もさっきの男性と同じく、握手を求めて自分の手を私に向けて差し出しました。
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