145:名無しNIPPER[saga]
2017/08/03(木) 12:34:03.48 ID:HWaFrKsf0
列が進みだしたのかな……と、そう思うのと同時に、私の前に一人目のファンの方が現れる。
見た所は二十代ぐらいの痩せぎす男性で、Tシャツやらリストバンド等と、随所に私達のグッズを身に着けている人でした。
この人も緊張しているのか、表情は強張っていて引き攣っている様に見えました。
「こんにちは! 島村卯月です!」
けど、私が笑顔でそう言うと、強張っていた表情が緩んで自然体に近づく。
あぁ、良かった。私の笑顔を見て緊張が和らいだのだったら、嬉しい限りです。
「う、卯月ちゃん。い、いつも、応援してるよ」
男性はそう言うと、私に向けて右手を差し出しました。
握手会なのですから、握手を求めてくるのは当然の事です。
「はいっ、ありがとうございます!」
私はそれに応えるべく、両手で男性の手を包み込む様にして、がっちりと手を握って握手を交わす。
これまでの私のアイドル人生、又は十七年の人生の中で何十、何百以上としてきた行動。
何でも無い……そう、何でも無い普通の行動。それなのに、
「……っ!?」
男性の手に触れた瞬間、何故だかまた、ゾクッと背筋に悪寒が走る。
会場に入る前、未央ちゃんのプロデューサーさんに触られた時と同じ症状が、再び起きたのです。
また、何で?
不可解な出来事にまた直面してか、私は思わず笑顔を崩してしまう。
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