431:名無しNIPPER[sage]
2017/09/26(火) 21:42:34.28 ID:Nkr8DRMT0
「香川ああああああああああ!!!!」
絶叫と同時に真司は拘束を振り解き、目の前に立つオルタナティブへ殴りかかる。
「なんでだよ!なんで見殺しにしたんだ!」
「ミラーワールドを閉じる為に闘ってるんじゃなかったのかよ!」
「助けられたはずだろう!アンタだったら!アンタだったら!」
消えゆく妻子に手を差し伸べず、意味不明な言葉を掛けて見殺しにした
香川の行いは、助けたくても自分の手の届かない所で仲間を二人失った
心の痛みが癒えない真司の逆鱗に触れてしまった。
「私は!自分の掲げた信念を最後まで曲げたりはしない!」
自分の目の前に飛び込んできた拳を捕まえた香川は、真司に向き直り
表情の見えないオルタナティブのマスクのまま絶叫した。
一つ一つ仮面の下にこぼれ落ちていく自分の人間性(なみだ)。
いっそこの瞬間に、自分を形成している全てを投げ捨てて何もかもを
忘れ去りたい。
タイムベントのカードがあれば、それを使ってライダーバトルに参加
しようとしたその時まで遡り、この結末をあの時の自分に教えてやりたい。
この瞬間を以て、香川英行はライダーバトルに参加した事で、かつて己が
築き上げ、その手中に収めてきた全てを自らの手でぶち壊した愚者へと成り果てて
しまった。
英雄でもない、父親でもない、人間でもない。
それでもなお、その胸中には譲れない信念が残っていた。
485Res/614.50 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20