佐野満「えっ?強くてニューゲーム?」
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423:名無しNIPPER[sage]
2017/09/26(火) 21:37:35.24 ID:Nkr8DRMT0
「先生は、自分が死ぬ事を恐れてるんじゃないんですか?」

 満の言う通り、香川は死ぬ事を恐れていた。

 愛する家族を残し、この戦いで命を落とす事を恐れていた。

 それでも、それでも...自分は家族を、仲間を失いたくない。

 だが、二つを守る事の両立はもう出来なくなってしまった。

 リュウガの正体を知ったとして何になる?

 未だに神崎士郎とオーディンの牙城を崩す手がかりは何も得ていない。

 時を逆行させるタイムベントとミラーワールドにおける全ての事象を

思いのままに操れるコアミラー、そして三枚の強化カードの秘密。

 この間までの自分ならば、無策のまま神崎士郎の逆鱗である神崎優衣に

接触を図ろうとはしなかったはずだ。

 タイムベントの攻略方法はともかく、サバイブとコアミラーに対する

何らかの対抗手段を整えてから満を持して動いただろう。

 心のどこかで、油断があった。

 家族を求め、家族を守るという一点において神崎士郎は未だ人間性を

保っているのではないかと無意識のうちに、自分に降りかかる最悪の

可能性から目を背けてしまっていた。

 その結果として、もう取り返しの付かないところまで自分の妻子は

追い込まれてしまったのだ。

 家族を取り、オルタナティブのデッキを捨て、仲間を見捨てる。

 仲間を取り、オルタナティブとして戦い続け、家族を見捨てる。

 神崎士郎が香川英行に提示した条件はこの二つだった。

 タイムベントを封じる手立てがない以上、今から赴く戦場では必ず

誰かが命を落とすのは明白だった。 

 無策のまま闇雲に戦う事の愚かさを香川は身に染みて理解している。

 理解しているが故に、今も答えの出ない堂々巡りの思索の中に囚われ

続けているのだ。 


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