422:名無しNIPPER[sage]
2017/09/26(火) 21:37:05.70 ID:Nkr8DRMT0
「お願い...お兄ちゃんを、止めて」
それと同時に、優衣の部屋でも部屋に残った三人が慌ただしく動く音が
聞こえ始めてきた。
「佐野!」
階段を慌ただしく降りてきた仲村が倒れ伏している優衣の傍で所在なく
立っている満へと声を掛ける。
「大変だ!香川先生の家族が攫われた!」
「なんだって!」
部屋に倒れ伏している優衣に視線を向けた仲村は、一刻も早く自宅へ
戻りたそうにしている香川と目配せをしながら、満に同行を求めた。
「仲村君。城戸君と先に車の中で待っていて下さい」
「どうやら、私にも東條君と同じ選択の時が来たようです」
自分を見つめる満の視線に、何かを感じ取った香川は部屋の外で待つ真司と
仲村に階下で待つように指示を出し、満と二人きりになるように状況を整えた。
「多くを救う為に一つを犠牲にする勇気、でしたよね?」
「でも、先生。家族を人質に取られたまま本気で戦えるんですか?」
「俺はね、先生が家族を救う為に俺達を犠牲にするんじゃないか?」
「先生の覚悟が揺らいでいるんじゃないかって疑っているんですよ」
「...」
「確か、最初に先生は言ってましたよね?」
「神崎優衣を殺せば、全ての戦いが終わるって」
「でも、大分最初の予定からずれてしまいましたね」
「どうしますか?今、ここで、神崎優衣を殺しますか?」
満の言葉に、香川の顔が複雑そうな表情を浮かべた。
公私混同をしているつもりはなかった。
いつかはこうなる事を予測していた。
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