421:名無しNIPPER[sage]
2017/09/26(火) 21:36:20.20 ID:Nkr8DRMT0
「待ってください」
ドアノブに手を掛けた満の背後から優衣の声が聞こえた。
後ろを振り返ると、優衣は自分の鞄の中からある物を取り出していた。
それは何年も使い込まれた薄汚い小さな鞄だった。
「これは?」
「お兄ちゃんが隠していたミラーワールドの情報とカード...です」
その一言を伝え終わった瞬間、神崎優衣は糸の切れた人形のように
床に崩れ落ちた。
満は崩れ落ちた優衣に目もくれず、鞄の中を一心不乱に漁っていた。
そして神崎優衣は、満にある一枚のカードを渡した。
「神崎さん。このカードはなんですか?」
「それは、切り札...お兄ちゃんを止めるための切り札です....」
満はそのカードを自らのデッキへと加えた。
「後...鞄の中にはコアミラーの欠片とブランクのデッキがあります」
「コアミラーの欠片とコアミラーは惹かれ合う性質があります」
「だから、これを使えばコアミラー本体の場所に行けるか....ら」
満は徐々に爪先から粒子化していく優衣を黙って見つめ続けていた。
ライダーがミラーワールドでの活動限界時間を迎えるのと同様に、神崎
優衣という存在も現実世界での活動限界時間(いのち)が尽き始めている。
別にこの女が死んでも死ななくても満にとっては痛くも痒くもないが、
被害者気取りでこのまま死なれるよりも、神崎士郎が隠し続けざるを得ない
情報を差し出したことだけは、神崎優衣もまた神崎士郎のという凶人の
被害者の一人だったという事実を、確かに認めなければならない。
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