420:名無しNIPPER[sage]
2017/09/26(火) 21:35:22.47 ID:Nkr8DRMT0
「アンタを責めても、今更俺達が死ぬ事には変わりは無いんだよ」
「だけどさ、もし罪悪感ってものがアンタにあるのなら...」
一瞬だけ、ほんの一瞬だけ満は今から自分が言わんとする事を優衣に
告げる事を躊躇した。
神崎優衣も被害者には相違ないし、神崎士郎が優衣を生き返らせる事に
腐心する理由も満には理解できていたからだ。
神崎士郎は『家族』という幸せが欲しかったのだ。
普通に生きていれば、手に入る平凡な幸せが。
朝起きたら、父と母と妹が自分にほほえみかけてくれる幸せ。
昼には学校で友と未来を語らい、友情を育む幸せ。
夜には両親と妹と友に眠り、また次に訪れる朝を共に迎える幸せ。
だけど、現実はそうはならなかった。
士郎は天才であるが故に孤独に苛まれ、優衣は親に愛される事無く
虐待によって命を落とした。
更に運の悪い事に、ミラーワールドなんて言う訳の分からない物と出会った
士郎は自分の幸せを実現してくれるたった一人の肉親を蘇らせる為に自分の魂を
売り渡してしまった。
それが全ての始まりだった。
神崎兄妹がどのような言葉を尽くしても、佐野満はそれを全て否定する。
なぜなら、満は愛する家族の死を受け入れ前へと進んだからだ。
だからこそ、今の満には過ぎ去りし過去に囚われ続け、未来なんか
何一つ見ていない神崎士郎の所業を真っ向から否定できる。
「俺達は、これからアンタの兄貴を殺してでもライダーバトルを止める」
「妹のアンタにも責任の一端はあるから、ケジメをつけて貰う」
「それでもさ、アンタに罪がないのは俺達四人とも理解しているんだ」
「だからアンタも命を賭けて、神崎士郎の暴走を止めてくれ」
「それが、自然の摂理をねじ曲げてまで生き残ったアンタの罪の贖いだ」
満の言葉に、優衣は涙に濡れた瞳で返事を返した。
「分かりました...」
「ああ」
優衣が深々と頭を下げたの見た満は、そのまま部屋を出ようとした。
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