40:名無しNIPPER[sage saga]
2017/04/24(月) 00:15:14.33 ID:WOJJWRsc0
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ボロアパート
長い聴取を終えた満が帰宅できたのは、午後六時だった。
警察署には朝から半日以上いた計算になる。
「はぁ...そっか、監督死んじゃったのかぁ...」
他の柄の悪い連中はともかく、少なくともあの監督はあんな無残な形で
ミラーモンスターに食べられて終わる最後を迎えて良い人ではなかった。
気さくで人当たりが良く、誰にも好かれるようないい人だった。
給料泥棒の自分にも優しく隔てなく仕事を丁寧に教えてくれた。
『佐野。大人になるとな、大切なことを一つ一つ忘れちまうんだよ』
『全部、社会っていう砂の一粒として大きな砂漠の下に埋もれちまうんだ』
『だけどな、優しさだけは忘れちゃいけないんだよ』
『打算なく誰かを信じたり、誰かを助けたりするのが一番難しいんだ』
『もし、お前の前にそんな人が現れたら躊躇わずに力を貸してやれ』
『ま、そんなお人好しのことをバカって言うんだけどな。がはは』
初めて仕事を監督に教わった日の帰り道の居酒屋、ビールを飲みながら
過去を懐かしむように自分の事を案じてくれたあの笑顔が瞼の裏に、鮮明に蘇る。
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