385:名無しNIPPER[sage saga]
2017/05/23(火) 12:40:15.72 ID:JcVHvI7Q0
「城戸さん。いいか...落ち着いて聞いてくれ」
「実は、俺は昨日その秋山蓮って奴に会ったんだ」
「本当か!どこで会ったんだよ?」
思わぬ情報に目を輝かせながら真司は食いついた。
しかし、仲村の浮かべた沈痛な表情に考えたくない最悪の未来を
垣間見た真司の顔は暗いものへと変わっていった。
「線路沿いの一方通行の道路だ。それで、戦えとアイツに言われた」
「あの時の君の友達は...その、無理矢理戦おうとしていた」
「まるで何かを戦うことで忘れようとしていた感じだったと思う」
「強かったよ。逃げるのが精一杯だった」
「秋山は最終的に自分の分身を作り、俺から逃げ果せた」
「それ以降のことは、俺の口からはなんとも言えない」
「いや...そうだったんですか」
一瞬、仲村が蓮を殺したのではないのかというよからぬ想像が脳裏に
浮かんだ真司だったが、もし仮にそうだったとしても、あの時の蓮は最愛の
恋人の死で冷静さを失い、まともな判断を下せるような状況ではなかった。
そもそも手塚に促されて優衣と共に花鶏に帰らず、蓮に何を言われようと
その側にいてやれなかった自分が悪いのだと無理矢理納得させ、平静さを
保つことを真司は選択した。
「すいません。じゃあまた俺他の所を探しに...」
最も可能性が高い香川研究室の聞き込みが空振りに終わった以上、ここに
留まっても何も始まらないと思考を切り替えた真司は鉄砲玉のように
研究室を後にしようとした。
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