363:名無しNIPPER[sage saga]
2017/05/23(火) 12:27:09.60 ID:JcVHvI7Q0
〜廃校舎 一階〜
ライアが着実に自分の戦いやすいフィールドを作り上げる中、ゾルダは
一階にある図工室と家庭科室と職員室を忙しく往復し続けていた。
「よし...これだけあれば鏡の代わりになるだろ」
一体ゾルダは何をしたいのか?
窓がなくなった一年生の教室の中で、ゾルダは自分の目の前に置かれた
大量のステンレスのナイフと包丁、図工室の引き出しの中で眠っていた
文化祭の飾り付けに使われる筈だった銀色の折り紙や裏面に両面テープが
付いているメタリックシルバーのカッティングシートを見下ろす。
「別に俺が負けるなんて事は万に一つも考えちゃいないんだけどさ」
「一流は万が一に備えて相手の裏を掻く準備も怠らないのよ」
「ねぇ、ゴロちゃん」
独り言を呟きながら秀一は黙々と教室の中央に置かれている半壊した
教卓の無事な板を引っぺがし、その縦1m、横40cmの一枚板にかけずり
回ってかき集めたカッティングシートと銀紙を貼り付ける。
「ふう、大体これで三分の二は埋まったか」
普通の鏡よりは劣るものの、確かに鏡面にハッキリと浮かぶ己の姿を
確認した秀一は、残ったステンレスのナイフや包丁を鏡面となる刃部分を
全てたたき折り、テープ代わりに持ってきた大量の釘と金槌で打ち付ける。
そして五分後、鏡のない世界で即座に秀一は即席の鏡を作り出した。
多少の隙間はあれど、確かにそれは鏡と言える代物だった。
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