佐野満「えっ?強くてニューゲーム?」
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357:名無しNIPPER[sage saga]
2017/05/23(火) 12:24:16.86 ID:JcVHvI7Q0
〜〜〜

「おい恵里!しっかりしろ!恵里!」  

「残念ですが...もう、小川さんは...」

「嘘だ...そんなはずないだろ!おい!恵里しっかりしろ!恵里ーッ!」

 香川英行がかけがえのない仲間を失ったように、秋山蓮も同様に

かけがえのない恋人を失ってしまった。

 秋山蓮を本当の意味で理解していると言える小川恵里は眠るように

その短い命を散らした。

 心電図の起伏が平坦になる事の意味をここにいる誰もが理解している。

 ただ、違いはそれを認めるか認めないかでしかなかった。

「行かないでくれ...恵里...お前が、お前がいないと...俺は...」

 痛ましい光景から目を背けるように、恵里の傍に集まった医師と

看護師達は恋人達の最後の別れを妨げないようにそっと病室から

出て行った。

 後に残されたのは秋山蓮ともう一人の女の二人だけだった。
 
「うわあああああああ!!」

「蓮...」

 恋人の死を受け入れられずに絶叫する秋山蓮の肩に悲痛な顔をした

神崎優衣の右手が置かれる。

「離せ!誰のせいでこうなったと思っているんだ!」

「出て行け!出て行けええええ!」

「恵里ッ!恵里ッ!恵里ーッ」

「ウオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」
 
 鬼の形相で獣のように吠える蓮に優衣は何も言葉を掛ける資格がない。

 当然だ。何故なら自分の兄のせいで蓮の恋人は死ぬ羽目になったからだ。

 優衣は蓮の事が好きだった。

 知り合ったきっかけは、蓮が恋人を失うきっかけを作った兄の実験の

せいだが、それでも不器用な生き方の中に確かな熱を持ってライダーの

戦いに身を投じる蓮の姿に心惹かれる自分がいた。

 その想いは抱く事さえ許されないが、それでも優衣は密かに士郎に

蓮を何とか最後まで生き残らせてくれと懇願していた。

 それが蓮の覚悟を踏みにじる冒涜だとしても、例え蓮の想いが自らに

向く事はないと理解していても、愛した男が無為にその命を散らしていく

ことに優衣の心は耐えられない。

 冷たくなった恋人の亡骸を抱きしめる蓮に背を向けた優衣は静かに

病室を後にした。


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