355:名無しNIPPER[sage saga]
2017/05/23(火) 12:23:11.79 ID:JcVHvI7Q0
「香川先生。僕からも良いですか?」
「これは私的な疑問だし、突拍子もない質問かも知れないけど」
「先生はこれから先、人として戦うのか、それとも英雄として戦うのか」
「それを俺達に打ち明けて貰えますか?」
東條よりも現実的で打算的な満にとって、香川のような絵に描いた
聖人がこれからの戦いにどう臨むのかは一つの重要なポイントだった。
仲村もそうだろうが、東條のように香川の掲げた英雄像に深く心酔
していない満にとって、この先、香川が求める英雄像に殉じて命を
落とすような終わりは何よりも避けたかった。
東條の献身と対照的なドライさはあるものの、むしろこの際に満も
自分が手を組む相手の真意を知らなければならない。
今日の友が明日の敵になるこの戦いにおいて、この瞬間ほど重要な
意味を持つ瞬間はない。
「そう、ですね...」
「私は確かに英雄たらんとして、今までこの戦いに介入しました」
「ですが、私自身自分が言っていた事の本当の意味を理解できなかった」
「結局、私の掲げた英雄像はただのエゴだったんです」
「そのエゴを東條君は実現して、命を散らしてしまいました」
「これが、私の罪です」
自らの罪を満と仲村に懺悔した香川が遂に答えを出す時が来た。
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