佐野満「えっ?強くてニューゲーム?」
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315:名無しNIPPER[sage saga]
2017/04/30(日) 12:07:16.46 ID:DSAJ+Ylu0
しかし香川は東條と共に戦うことを拒んだ。

 たった一人で目の前に立つ紅蓮の大蛇とその契約者を相手取って

その命を散らそうとしているのだ。

 意味が分からない。

 あれほど英雄になることは命を軽々なものとして扱ってはいけないと

常日頃から自分に説いていた香川が、今この時になってその言葉とは

真逆の行為を取ろうとすることが理解できない。

「東條君。英雄にはね、守らなければならないことがあるんですよ」

「かけがえのない仲間を失いそうになった時に自らが盾になる覚悟」

「力なき多くの者を守るために非情な悪を担う覚悟」

「そして、自分にだけは負けないという誓いを最後まで貫く覚悟」

「どうやら今日は君が私と肩を並べて戦うには早すぎたようですね」

 仮面の下に笑顔を隠した香川は、すがりつく東條の手を振り払い、

右手に持ったスラッシュダガーを両手で構えた。

「先生!先生ッ!なんで!なんで!」

 王蛇がサバイブに変身する前に仕留める機会が何度もあったにも拘わらず

何度も選択を間違えた東條は激しい怒りに襲われていた。

 でも、もうどんなに激昂しても過ぎた時は二度と戻ることはない。

「浅倉アアアアアアアアアアアッ!」

 香川の期待を裏切り、あまつさえその命を危険に晒した自分の愚かさと

どこまでも生き延びようとする王蛇の生き汚さに東條は怒っていた。

「ハハハハハハハハ!いいザマだなぁ英雄さんよぉ」

「その滑稽さに免じて、そら」

 地下通路を煌々と照らしていたサバイブで作り出された炎の障壁が

一瞬でベノヴァイパーに吸い込まれていった。

「十秒くれてやる。その間に生きるか、死ぬかを決めろ」 

 浅倉の悪辣なまでの慈悲にタイガはいかに自分が非力で無力なのかを

思い知らされた。

「東條君。約束を破って一人死んでいく私を、許してください」

「!!!」

 闘争を選んだ王蛇と真逆の選択をしたタイガは猫が尻尾を巻いて

大蛇から逃げ出すように、光り差す出口へと向かって走り出した。



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