220:名無しNIPPER[sage saga]
2017/04/28(金) 22:38:47.59 ID:xchiMuX50
〜病室〜
「親父、入るよ」
ドアを閉めた満は、カーテンを開いて父が眠るベッドの前に立った。
傍に置いてあったパイプ椅子に座った満は、変わり果てた父の姿に
衝撃を受けながらも、それでも必死に動揺を堪え、点滴が繋がっていない
左腕をそっと握りしめた。
「大分、やつれちまったんだね...」
久々に再開した父は物言わぬ生ける屍へと成り下がっていた。
自分の倍以上太っていたその身体は薬の副作用か、あるいは癌が全身を
蝕んだせいかは明らかではないが、もう既に完治が望めない程に、死の
香りがその身にまとわりついていた。
「...人が悪いよな。佐藤さんも、アンタも...」
「一目見て助からないって分かる所まで来ちゃってるじゃんか...」
力なく微笑んだ満は、悲しい笑みを浮かべながら、いつ目が醒めるとも
分からない父に向かい、家を出た二年間の思い出を話しだした。
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