217:名無しNIPPER[sage saga]
2017/04/28(金) 22:37:24.31 ID:xchiMuX50
「社長の病気の予兆を初めて私ども幹部が認識できたのは二年前でした」
「本当に、唐突だったんです」
「会議中に激しく咳き込み、大量の血を吐き出したんです」
「医者が言うには、過度のストレスと大量の喫煙が原因と...」
(おい...それって、俺が家にいたときから発症してたんじゃ...)
途切れ途切れに飛び込んでくる佐藤の話を聞きながら、満は自分が
まだ高校生の時の、家を追い出される前に共に過ごしていた父親の記憶を
頭の中から引っ張り出そうとしていた。
しかし、ボロボロと涙を流す佐藤の言葉がそれを許さなかった
「二年前、社長が満様を勘当なされた時には病がかなり進行していました」
「どうして、そんな大事な事を俺に教えてくれなかったんですか?」
動揺と怒りが混じった感情に突き動かされた満は目の前の男の胸ぐらを
ねじり上げ、壁に叩き付けた。
真実を語らないうちに、自分の目の前から逃げ出さないように、懸命に
力を込めながら満は佐藤に食ってかかる。
「だって、ねぇ?そうでしょ?俺、親父の息子なんだよ?」
厳しい父親だった。
数少ない父との思い出を思い出しても、一緒にいて楽しかった思い出の
数よりも、怒鳴られて叩かれた辛い思い出の数の方が多かった。
それでも、そうだったとしても...世界でたった一人の家族なのだから。
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