214:名無しNIPPER[sage saga]
2017/04/28(金) 22:35:58.98 ID:xchiMuX50
この数ヶ月、自分なりに少しは強くなれたかなと思っていた。
しかし、世界はとても広かった。
歪な正義感であっても、それを最後まで貫き通す断固たる決意を持つ
英雄の覚悟を説く男や、ライダーでありながらライダーとは戦わずに戦いを
止めようと奔走する男もいる。挙げ句の果てにはこの戦いの優勝候補の
一角である連続殺人鬼の様な奴もいた。
まるで夢の中に放り込まれたような気持ちだった。
何の力も持たない一般人である自分が、そんな奴等と命懸けの戦いを
繰り広げているなんて一体誰が予想できただろう。
「親父...教えてくれよ...」
「アンタ、一代で会社興したんだろ?」
「俺なんかよりもっと大変な思いしたんだろ?」
「なぁ...教えてくれよ」
親のすねをかじり、将来の事を何も考えていなかった己の愚かさが
今になって恨めしいと思うようになっただけ、自分もヤキが回ったなと
満は溢れる涙をタオルで拭う。
母もいない、兄弟もいない、頼れる友もいない。
結局、虚しい人生だったなと満は涙をこぼした。
「父さん...父さん...」
涙が溢れ、どうしようもないほどの悲しみが満を襲う。
訣別したとは言え、たった一人の家族なのだ。
不器用なりに、たった一人の息子との絆を失うまいと頑張っていた
あの姿に自分は応える事が出来なかった。嘘と怠惰でしか応える事が
出来なかった。
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