161:名無しNIPPER[sage saga]
2017/04/25(火) 11:10:46.26 ID:L6BVEgLS0
「香川先生。俺、先生とは真逆の信念の人を知っています」
「ほう、それは興味深いですね。聞かせてください」
「はい。その人は一回会ったきりなんですけど、不思議な人でした」
「戦わなきゃ生き残れないのに、戦いを止めようと躍起になってるんです」
「正直、先生の言ってる事のほうが俺としては納得しやすかったです」
「でも、1を捨てて多数を守る先生の主張を聞いているとき」
「俺の頭の中には、1を守って多数と戦うあの人の信念がありました」
「俺は、弱いけど...正直そっちの英雄の方が格好良いと思ってます」
「そう、ですか...確かに、それも立派な英雄の在り方かも知れませんね」
それは、今更自分を変える事ができない香川の在り方と相反する
もう一つの正義の在り方だった。
自分のしている事は限りなく正しい。
弱者の犠牲の肯定というエゴに目をつむれば、必ずミラーワールドは
閉じられる。いや閉じてみせるという覚悟が香川にはあった。
しかし、真司のそれは香川の方法よりも遙かに難しいにもかかわらず、
香川は心からそのもう一つの英雄の在り方を否定する事は出来なかった。
なぜなら、それこそが...
「香川先生や仲村さん、東條さんのお話しを聞いて決心がつきました」
「俺、先生達の所でこの戦いを戦い抜きたいです」
「先生や城戸さんのような英雄に俺はなれない」
「だけど、俺は切り捨てられる1にはなりたくないんです」
「だから、皆さんの力になれるよう一所懸命頑張ります!」
拳を握りしめた満は、決意も新たに己の道を選んだ。
俺はまだ弱い。だから、少しでも生き残れる確率の多い側について
自分に出来る事を探してみよう。
そう決意した上での自分の売り込みだった。
485Res/614.50 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20