148:名無しNIPPER[sage saga]
2017/04/25(火) 11:02:54.63 ID:L6BVEgLS0
「ああ、待ってください。佐野君、一つだけお願いがあるんです」
「はい?なんでしょうか?」
自分に背を向けた満に、香川は声をかけた。
「いえ、大したことではないんですが」
「私が預かっていた荷物の中にあった、あの格好良い玩具」
「もう一度、見せて貰えませんか?」
「カードデッキのことですか...いいですけど...」
香川の言葉を疑う事なく、満はポケットの中からカードデッキを
取り出して、香川の前に置いたのだった。
「そうそう。これですよ」
「息子の誕生日が近くて...これ、なんていう番組の玩具ですか?」
「えっと...それは...なんでしょうね?」
香川の言葉に答えを返せずに口ごもってしまう。
なぜならこれは玩具などと言う生ぬるい物ではないからだ。
これは鏡の向こうに渡り、ライダーや怪物を殺す為のライセンスだ。
しかし、香川は脳天気にデッキの中からカードを引き抜いて、興味深げに
裏と表を交互にひっくり返し、目を輝かせながらじっと観察している。
「この二枚は、サメですか?」
「ええ。まぁそうですね。何の鮫かは分からないですけど」
「アビスハンマー...アビスラッシャー...」
二枚の契約獣のアドベントのカードを見つめる香川の視線が徐々に
厳しい物に変わっていく。
「実はこれ、知人っていうか...ある人から貰ったんですよ」
カードをじっくりと見ていた香川は、納得したように全てのカードを
満のデッキの中に入れ戻し始めた。
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