105:名無しNIPPER[sage saga]
2017/04/24(月) 13:04:29.71 ID:WOJJWRsc0
かつて、監督が自分に教えてくれたことが蘇る。
『だけどな、優しさだけは忘れちゃいけないんだよ』
『打算なく誰かを信じたり、誰かを助けたりするのが一番難しいんだ』
『もし、お前の前にそんな人が現れたら躊躇わずに力を貸してやれ』
『ま、そんなお人好しのことをバカって言うんだけどな。がはは』
打算抜きにこの人なら信じられるという直感は間違っていないと、
今なら確実に断言できる。今がまさにその時ではないのだろうか?
「あ、あの...城戸さん。俺を城戸さんの仲間に入れて下さい!」
そう思った瞬間、満の口は自然とその言葉を出していた。
「えっ?お、おい!聞いたか手塚?」
「ああ。お前の仲間になりたいって彼は口にしたようだ」
信じられないように自分を見つめる真司に、満は今まで自分の心の中に
抱えていた暗い何かを吐き出し始めた。
「俺、...良い暮らししたいからって理由でこの戦いに参加したんです」
「バトルに勝ったら、お前の願いが必ず叶うからって...」
「で、でも...現実はそんな甘くなくて...」
「何度も死にかけて、城戸さんみたいに誰かを助けられなくて...」
「誰かを殺さなきゃ生き残れないのに、殺したくない自分がいるんです」
「でも...怖くて、やっぱり...怖くて...」
先程の恐怖が蘇る。槍を突きつけられ、あと一歩でカードデッキを
破壊されて殺される自分の姿が一向に消え去らない。
それは、あくまでも一人で戦い続けたときの末路かも知れない。
だが二人なら?三人なら?
きっとこの戦いを止められるかも知れない。それどころか神崎士郎を
とっちめてライダーバトルを終わらせられるかも知れない。
その可能性を城戸真司は信じさせてくれた。
今の佐野満にとって真司の言葉はまさに天啓に等しかった。
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