199:名無しNIPPER[sage saga]
2017/10/21(土) 20:04:25.08 ID:ANVQ24Nk0
いつのまにか鳴きやんだひぐらしの声。おかげでこの部屋はしんとして、私と大井さんの少しだけ荒い息遣いだけが響く。
大井「提督、次は、私になにをしてくれるんですか?」
大井さんの熱を帯びた瞳が少しだけ下がったのを感じた。熱い視線は鼻を通り抜け唇に注がれる。そして私をもう一度見ると、静かに瞳を閉じた。
私はポケット中に手を突っ込む。そして今までに大切に、その時が来るまで隠していた、柔らかい手触りの箱から、大井さんにずっと渡すと決めていた物を取り出す。
大井さんの左手をとる。冷え性の大井さんとは思えないくらい熱く、火照っている。そして私はその暖かな左手、薬指を手に取りそれをつけた。
近くだからよくわかる。それをつけた時大井さんは目を閉じたまま、今の私と多分同じだろう表情をした。嬉しくてたまらない。そんな顔。
大井「....負けました。今のは提督の勝ちです」
提督「大井さん。目を開けてください」
大井「はい」
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