青葉「けしの花びら、さえずるひばり。」
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83: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/04/30(日) 05:16:26.69 ID:zE7UP0Tu0
そうしてる内に、少しだけ彼が寝返りを打ちました。
青葉のお腹側に顔が向いて…服の裾を、少しだけ掴んで。
可愛い所もあるなぁ、なんて。

……この時間と出来事だけは、青葉だけのものです。
頭の中だけの、誰にも見せない秘密の記事ですから。

あ、時計、今は外してるんだ…目を逸らしちゃダメだよね…。
恐る恐る視線を左手に合わせると、ズタズタの手首が晒されていました。
初めて全容を見たけど…痛いなぁって。こっちの心まで痛くなりそうで。
手首に手を伸ばして、優しく傷を撫でて…一瞬だけ、彼の頬にキスをしました。

スピーカーから流れていたのは、あの曲で。
今は丁度曲の終わりで…天国の夢を、見ているんでしょうか?

天国旅行…そう、旅行、なんですよね…。
旅行だから、帰ってくる場所がある前提の事だから。死出の旅とは、帰るあての無い放浪とは違うはずで。
この曲を知ってから何度も聴いた、断末魔の悲鳴みたいなギターソロが鳴り響いて。
そこから、嘘みたいに穏やかなアウトロに繋がって。

やっぱり、人が死ぬ時の気持ちを想像してしまって。


青葉は覆い被さるように、彼の頭を胸に抱いていました。





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