青葉「けしの花びら、さえずるひばり。」
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5: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/04/11(火) 03:00:21.53 ID:2/pFdI7xO

「天国ですか…私達艦娘って、各々適合する艦の記憶を、ある程度共有してるわけじゃないですか。
それって幽霊が憑いてるようなものだから、きっとあると思います。」

この時は艦娘研修で習うような解釈しか、青葉には答えられませんでした。
でもそれを聞いた司令官は……。


「なるほどな…僕は見た事があるよ、天国。」


その瞬間、カッと目を開けて笑う司令官を、初めて見たんです。
ゾッとするような、普段は細い目の奥を。

「あはは…そ、それはどんなところだったんでしょうか?アレですか、お花畑が広がってるような…。」

「違うね。もっと素敵な所だ。」

本音を言うと、遅い中二病でも罹ってんのか!なんて思いましたねぇ。
仮にも三十路手前の方が、まさかそんな事を言い出すなんて。

「これを聴いてると、そこを思い出すんだよ。また行きたいなぁ…。」

相変わらず、目線は遠くを見たままです。こちらには目もくれない。
この時初めて司令官の腹の底を見た気がしたのですが、却って彼の事が、余計に分からなくなった気がしました。

分かった事なんて、彼はその天国にとても焦がれている事ぐらい。
少年のような純粋な目で語って、だけどとても不気味で。そこに気を取られている内に、流れていた曲の事なんてどこかに行ってしまいました。

彼の語る天国は、その曲がよく表している事にも気付かないで。




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