457: ◆FlW2v5zETA[saga]
2018/05/09(水) 09:31:20.71 ID:jUsAX/Du0
それから何日かして、遂に私の艤装も解体になりました。
仕事は辞める日まであるけど、艦娘としての私は実質この日で終わり。
整備さんに頼んで、少しだけ席を外してもらいました。
最後に一度、この子と二人で過ごしたかったから。
「……『青葉』、今までありがとう。」
バラバラにされたパーツ達は、何か言ってきたりはしない。
だけど私には、分かるんですよ…初めてこの子を付けたその日から、いつでも心は繋がっていたって。
この子は、もう一人の私ですから。
叔父さんを殺したあの日、この子の辛い記憶を見ました。
今思うと…逆にあの時感じた絶望も、この子に伝わっていたのでしょう。
本来以上の力を貸してくれたのは、きっと私の怒りに、この子も自分の無念を重ねたから。
平和になったとは言え、私が代わりに果たせたのかは分かりません。
確かめる術は無いけど…外された艤装の核を手に取って、ギュッと抱きしめました。
今度こそ、この子もゆっくりと眠れるように。
「…さよなら。」
工廠の出口で、振り返ってそう囁いた時。一瞬幻が見えました。
私によく似た女の子が、満面の笑みで手を振る幻。
……あの子みたいに、笑って生きなくちゃね。
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