321: ◆FlW2v5zETA[saga]
2018/01/17(水) 23:12:42.55 ID:CAYfeAj6O
「……私の事、気にしてるのかしら?」
「……!!はい、そうじゃないと言えば嘘になりますかね…。」
「あなたの気にする事じゃないわ。私は昔の女だもの。
私はね、彼の幸せをあなたに託したの。だから上手く行ってる事が一番嬉しいのよ。
…これからも、ジュンの事をよろしくね。」
「……はい!」
そう微笑んでくれた時は、心底良かったと思いましたよ。
ずっと心に引っかかっていた事が溶けたみたいで。
それからは寮に戻るまで、扶桑さんと今までしなかったような話をしていました。
個人個人のお酒の趣味から始まって、好きなファッションや音楽に、ジュンの面白いエピソードまで。
へー、なるほど、そう言うのに弱いかぁ…今度ケンカしたら使ってやろ!
そんなしょうもない事を考えてみたりして、さっきまでのシリアスな空気は頭の隅へ追いやられていたのです。
それはいつもの仲間達とは趣の違う、楽しいお酒でした。
歳の離れた先輩とサシで飲むなんて、まだ飲めるようになったばかりの青葉には無かった事でしたから。
でも本当、身も心も美人だなぁ…何年かしたら、この人みたいになりたいね。
そんな気持ちを抱いて、その日はお開きになりました。
「じゃあまたね。おやすみなさい。」
「ええ、おやすみなさい。」
宿までの慣れない帰り道で、酔った頭でこれからの事を考えてみました。
私もまだ若いしなぁ…そもそもこんなの考えるの、気が早いかなぁ…。
……うん!でもやっぱり私は、ジュンの苗字になりたいな。
そう願い事を抱きつつ、てくてくと歩いていたのでした。
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