259: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/11/27(月) 06:29:04.28 ID:3Y4cAnbMO
「…軍での検死結果ですが、ご遺体の右手にSDカードが握られていたようですね。
データを確認した所、あの未確認生物が写っていたそうです。軍経由で各報道機関に送られたと報告がありました。
ここまで鮮明に写ったものは、どの国の軍でも撮れなかったそうですよ。」
「……叔父さん。」
“どうせ死ぬならこいつらの脅威を世界中に伝えてやる!”
きっとそんな事を考えて、彼は最期にカメラを構えたのでしょう。
何かの役に立つ報道をしたいと、叔父さんはいつも言っていましたから。
ふふ…ほんと最後まで記者バカだよ…でもさぁ、死んじゃったら記事書けないよ。せっかく叔父さんが見た事なのに…。
小さい頃に撫でてくれた手は冷たくて。
いくつになっても見上げるばかりだった身長も、随分ちっちゃくなっちゃって。
左手、なくなっちゃってるなぁ…これじゃ一眼持てないじゃん。
叔父さん…ねえ、叔父さんってば……。
呼びかけたところで、返事なんてありませんでした。
それでも私は、返答がないインタビューをずっと心の中で繰り広げていたんです。
その後形見分けの時、彼のサブ機の一眼をもらいました。
それは予備として買ったばかりの、まだどこにも取材に行った事が無かったカメラ。
でも3枚だけ、その中にデータがあったんです。叔父さんがカメラを買う時、勉強にと私もついて行ってましたから。
それは家に寄った時に試し撮りした、彼の奥さんの写真と、私の写真と。
それと、私が撮らせてもらった叔父さんの写真。
叔父さんの遺影には、その写真が使われたんです。
この先自分の撮った写真が誰かの遺影に使われるなんて、もう無いだろうって思ってました。
その時は。
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