243: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/11/09(木) 18:25:10.87 ID:OW6pln5X0
前日の事。
とある公園の湖に、女が一人立っていた。
観光スポットの一部であるが、平日の今、ここにいるのは彼女だけ。
自販機で鯉の餌を買うと、彼女は湖のほとりまで近付いた。
人影に反応してか、鯉達が重なるように女の足元へと集っている。
ここでは見慣れた光景であり、仮に誰かがそれを見たとて、気にも留めない光景であったろう。
「たーんとおあがりよー…♪」
ぱちゃぱちゃと音を立て餌が撒かれる中、『とぷん』と一際大きな音が、一度だけ鳴る。
その音の場所に輪を掛けて鯉達が群がるが、全て食べ尽くしたのか、やがてその音も止んだ。
『その餌』を入れていたビニールを軽く洗い、女は立ち去っていく。
後には元通りの、静かな湖があるばかりだった。
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