241: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/11/09(木) 18:23:33.83 ID:OW6pln5X0
「青葉、ちょっと顔色が悪いな。今日はもう部屋で休みな。
事情は先に聞いてるから、先輩には俺から連絡する。」
「…はい、よろしくお願いします。」
少尉さんに促されるまま部屋へ戻ると、すぐにベッドに倒れ込みました。
でもそれも、5分と持たなかった。
気持ち悪い。
そう思った時にはもうトイレに駆け込んでいて、げえげえと吐いていたのでした。
吐瀉物のグロテスクな見た目とすえた匂いは、さっきまで人の死を喜んでいた私の腹の底を、実体として見せ付けているかのようで。
それを流してみたところで、気分の悪さは変わらない。
開放感と、そこへの嫌悪感。
それが複雑に絡み合って、手はぷるぷると震えていました。
『ヴィーーー……』
そんな時でした、携帯のバイブ音が聞こえたのは。
この長さ、電話だ…誰だろ。え?
『もしもし?』
「………“ジュン”。どうしたの?」
『少尉から連絡が来てね…さっきは被害者が誰か、隠してたんだろう?』
「……うん。あのね、最初のニュース見た時…私、すっきりした気分にもなってたんだ。人が死んだのに…。
ざまあみろって…叔父さんやあの子の時は、あんなに泣いたクセに…。」
『…無理するな。複雑な気分になるのはわかる。
でも何かあったら、いつでも寄っ掛かっていいんだよ。今は俺がいるだろ?』
「………!!」
たったそれだけの言葉でも、どれだけ救われたでしょうか。
そうだよね…今は、彼がそばにいてくれるんだ。
ずっと振り回されてても、それを無下にする事になる。
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