167: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/07/21(金) 04:00:03.38 ID:lURP6mEEO
「“司令官”、おはよーございます!!」
「ああ、おはよう。“青葉”。」
次の日、今まで通りの挨拶で1日が始まりました。
今日の青葉は秘書艦を外れていて、でも作戦の関係上出撃はありません。
戦闘が無い時の艦娘がやる事と言えば、専ら訓練です。
今日は海上移動の訓練をしたかったので、一人訓練用の沖に立っていました。
この時はたまたま、青葉以外誰もここを使っていなくて。静かな沖が目の前に広がっていました。
“〜〜…♪”
何故なんでしょうね。
天国旅行と言う曲を知った日から、艤装を付けて一人沖に立つと、頭の中で流れてきます。
あの曲から感じる、寂しい景色。
それを何故か、ずっと昔から知っているかのように思える。
彼が見た天国が、艤装と通じている間は既視感のあるものに感じられるんです。
『天国とは名ばかりのそれ』が、生々しい物に思えるぐらいには。
彼の事を知り始めてから、作戦や訓練の時は頭の中でスイッチが入るようになりました。
特に具体的な過去を知ってからは、グツグツと煮えたぎるのに、冷え切った様な。そんな感覚を持つようになったのです。
洋上を駆けて、障害物を避けて。そして置かれた的を撃つ。もっと速く、もっと正確に。
ぜえぜえと息が上がっても、足が震え始めても。
日が暮れるまで、青葉は訓練を止める事はしませんでした。
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