166: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/07/21(金) 03:58:54.17 ID:lURP6mEEO
膝枕をしてあげる内に、彼は疲れ果てて眠ってしまいました。
今は子供みたいに穏やかに目を閉じていて、その顔が青葉を満たして行く。
少なくともこの鎮守府では、青葉以外誰も知らない顔なのですから。
腕には真新しい噛み跡。まだかさぶたも真っ赤なその傷を見て、ふと彼の血の味が蘇りました。
アヘンって、元はけしの乳液だったよね……さながら青葉にとってはその味が。いえ、彼の存在自体が麻薬のようで。
傷に舌を這わせれば、乾いた鉄の味。頭の奥が痺れるような感覚が、そこにはありました。
ほんとうのこのひとはわたしだけのもの。
でも、もう帰らなくちゃ。
起こさないように頭を下ろして、毛布を掛けたら最後にキスをして。それでこっそりと、部屋に戻りました。
本当は朝までそばにいてあげたいけど、恋人であると同時に青葉は艦娘で、彼は司令官で。
それは二人とも、よく分かっている事でしたから。
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