153: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/06/18(日) 06:56:41.99 ID:E5Fo7Ca+O
「眠くねえなぁ…。」
「横になろっか?ゴロゴロしてるだけでもマシだろうし。」
「そうだね、変にテレビ見たりするよりは。」
照れ笑いも、少し崩れた言葉遣いも。やっと心を開けたようで、青葉には全部が嬉しくて。
それで思わず抱き着いて、腕を絡めたら…あるものが青葉の手に触れました。
火傷ででこぼことした背中に触ると、眠る前まで無かった、細くて硬い感触があって。
それは多分、最中に青葉が爪を立てたせいで出来た傷。
痛かったかなぁ…無意識とは言え、悪い事しちゃったな。
「背中、ごめんね…痛くない?」
「ん?ああ、大した事じゃないさ。」
そう笑顔で言い放つ彼を見て、少し胸が痛みます。
彼の過去の恋愛も過ぎりましたけど…それ以上に、あの戦闘で痛みに慣れてしまったんだろうって。
…最近少しだけ、確信を得た事があるんです。
彼が感情を取り戻し始めたきっかけや、その後に欠けたピースをはめて行ったトリガー。
それはきっと、『私』が彼の体に痛みや傷を与える事。
痛みを以って、痛みを呼び覚ます事。
確かに、恋人同士になった事もあるでしょう。
だけど、体を重ねる前より柔らかくなった表情を見ると…背中の爪痕が、また呼び覚ましたのかもしれないって思ってしまう。
医務官さんの指示で、青葉は今日はお休みになったそうです。
それでも昼には、部屋に戻らなきゃいけない。
つまり、また夜になれば、彼はひとりきりで夜を明かす。誰にも見られず、何かを隠す必要もない。
そこまで考えた時、さっきの血まみれのマットが頭を過って…今度は、自分の胸に彼を抱きしめたんです。
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