132: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/05/20(土) 05:03:40.47 ID:MJwCQvXBO
その夜、青葉はまた執務室を訪ねていました。
夜にここに来ると、昼と違う顔を見せ合うようになったのは、いつからだったっけ。
いつも通り、いろんな音楽が流れていて…その間だけは、艦娘と司令官じゃなく、ただの人同士でいられる。
扉を閉めた時、またこっそり鍵を掛けちゃいました。
誰にも、邪魔なんかさせたくなかったから。
「……__か。」
あの声で響く、『私』の本当の名前。
その瞬間に、込み上げて来るもの。
腐った果実みたいな匂いの感情が、頭の奥を支配して。
「いい夜ですねぇ。今夜は何をお聴きでしょうか?」
答えなんて、待つ気も無いけれど。
言葉が帰って来る前に、背中から腕を回して。
首を挟むように、青葉は彼に絡み付いたのでした。
右手の中に、ある物を握ったままで。
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